今回は、椅子に座ったまま行える、膝痛予防・改善の体操をご紹介します。
1.推奨される対象者、施設
足を自分の力で持ち上げ、曲げ伸ばしの動作を行うことが出来れば、どなたでも実施可能な体操です。車椅子の方も実施可能な体操です。
椅子に座ったまま行うことが出来るので、転倒の危険はありません。ツールなども使用しないため、座れる場所があれば、どこでも実施可能な体操です。
1人でのリハビリから、大人数の集団体操まで、幅広く導入が可能な体操です。
デイサービスを中心に、どのような施設でも導入が可能です。
今回のトレーニングは、膝痛予防・改善の体操となるので、膝に痛みをかかえる方はもちろんのこと、歩行時間が減少している方などにも、お勧めの体操プログラムとなります。
2.導入の様子
地域福祉交流センター(日高デイトレセンター)では、要支援1〜2、要介護1〜2の方を対象に、5〜15人の小人数の集団体操の際に、体操を導入して行っています。
参加者は全員椅子に着席した状態で行います。車椅子の方もご参加されています。
3.体操のポイント
年齢を重ねると、ももの前側の筋肉が衰え、膝を支えることが難しくなり、負担が大きくなります。足を閉じる力も弱まるので、変形性膝関節症や、O脚など、膝の疾病が多くなります。膝の痛みを予防・改善するために、ももの前側・内側の筋肉を引き締めることが大切です。今回の体操は、足を重ねて行うことで、2つの筋肉を同時に刺激することが可能となります。
筋力トレーニングを行った後は、引き締めた筋肉をストレッチでほぐします。
4.体操の手順
まず、膝の曲げ伸ばしのトレーニングで、ももの前側・内側を鍛えるトレーニングをご紹介します。
椅子に座ったまま、足首の辺りで足を重ねます。足を重ねたまま、ゆっくりと膝を伸ばし、ももに力が入ったら、戻す際もゆっくりと戻します。この動作を10回程度繰り返し、逆足も同様に行いましょう。
このトレーニングの注意点は、足を重ねることで、上に乗せた足が重りとなるので、なるべく下の足で持ち上げるよう意識すると、ご自分の足で負荷をかけることが出来ます。また、足を伸ばした際には、無理に膝が伸びきらないように注意しましょう。呼吸は、足を伸ばす際に吐き、吸いながら戻しましょう。
このトレーニングの効果は、ももの前側、内側の筋肉を同時に鍛えることができ、膝の安定に繋がります。変形性膝関節症やO脚の改善に効果的です。
このトレーニングの運動強度を変更する際には、初めのうちは椅子の背もたれ等に寄りかかっても良いが、慣れてきたら、背もたれから背中を離し、お腹に力を入れ、体幹も鍛えながら行うとより効果的となります。
続いて、ももの前側のストレッチをご紹介します。
椅子に座ったまま、片足を持ち上げ、両手で膝をかかえます。かかえた足を、出来る範囲で良いので、自分の胸の方へ近づけましょう。そのまま、15秒程度伸ばします。逆足も同様に行いましょう。
このストレッチの注意点は、足をかかえる際に、足と体がなるべく離れないように、出来るだけ胸の方へ引き寄せましょう。また、ストレッチ中は、呼吸は必ず止めないようにし、息を吐きながら行います。
このストレッチの効果は、ももの前側をほぐすことで、膝が滑らかに動くようにサポートします。また、お尻周辺もほぐれるので、骨盤周辺の緊張が解け、歩行が安定するようになり、膝への負担が減っていきます。
このストレッチの運動強度を変更する際には、膝をかかえるのが難しい場合に、膝の裏を持ってかかえると引き寄せやすくなります。
以上が、椅子に座ったまま行える、膝痛予防・改善の体操のご紹介となります